近年の急速なIT化のあおりを食って、現場のエンジニアには大きすぎるプレッシャーがのしかかっています。その中でも分かりやすいのは、納期に間に合わせるために、何としてでも頑張ってしまうというものです。一度動き出したプロジェクトは、途中でどんな不測の事態が起ころうとも、当初の予定通りに納品しなければならないのは原則です。しかし、これだけシステムが高度化し複雑化している中での開発作業は、思うように行かないものです。そうでなくてもITエンジニアは慢性的に人手不足の状態が続いており、従来の2,3倍の仕事を1人でこなしているのが現状です。初めから無理なスケジュールを承知で現場にすべてを押し付けているともいえますが、すべてを掛けて納期に間に合わせたことで自信をつけたというエンジニアもいるのは事実です。自分の実力と限界を考えて、チーム全体として効率を上げる取り組みが不可欠です。
「君だけが頼りだ」と上司やリーダーに泣きつかれて、無理を承知で責任を引き受けてしまう場合があります。開発プロジェクトはチームで行うものですが、そのチームのレベルが揃わず、結局自分が乗り出して行かざるを得ない事態に直面して、ある種の高揚感と共に一切合財を引き受けてしまうのです。この場合には案外感謝を求めないため、無事に終われば脱力感から、しばらく肉体的には虚脱状態が続くものの、精神的な苦痛が後に残らないようです。しかし、自己犠牲も度重なれば、周囲からはそれが普通と勘違いされてしまう恐れもあり、セルフコントロールは必要です。
職場によっては、どうしても負けたくない相手がいるものです。そのような相手からの挑戦とも取れる言動に奮起して、思わずその手に乗ってしまい、無理難題を叶えるために遮二無二突き進んでしまう場合があります。もちろんその過程で周囲から思わぬ助力を得たり、その成功がきっかけで周囲から認められるようになったり、更に挑戦する意欲が涌いたりと、肯定的な側面も少なくありません。しかし、相手の言動に翻弄されて、それに囚われ過ぎると危険です。自分と他人とを分けて考える冷静さも、時には必要です。
プロジェクトによっては、チーム内に味方がなく、孤立無援状態のまま一人奮闘を余儀なくされるという、悲惨な環境下に置かれる場合があります。そのプロジェクトはどうにか完成に漕ぎ着けたとしても、後々までかなりな精神的ダメージを残すことになりがちです。元々人使いの荒い会社で次々と人が辞めてしまうため、自分が経営者の責任まで背負い込まなければならないほどの窮地に追い詰められてしまう前に、職場環境を良く見極めることも大切です。